19日土曜日に世田谷パブリックシアター主催「子育てを考える」ワークショップの第2回目があった。
この回はうちも旦那が休みなので、こどもも連れて3人で出かける。こうして家族に自分の仕事の現場に参加してもらえるのは幸せだなあと思う。
この日は、学校や保育園・幼稚園がお休みなので、うちの子だけじゃなく、参加メンバーのこどもたちもたくさん遊びに来てくれた。ワークショップルームの一角に作られたキッズスペースあたりでこどもたちがそれぞれ遊び始める中、ゆるゆるワークショップを始めた。
こどもたちの他、多かったのが20代である。円の研究生女子たちがこの回のみ参加だったり、唯一の20代男性参加者Tくんもこの日参加の予定だったので、この日は「こども&20代スペシャル」にした。
1、今の若い世代が家庭を持つ、こどもを持つことの経済的な困難
ところが問題提議した当のTくんがお休み。Tくん抜きの20代女子3人と世田谷関係者のWSファシリテーターOくん、某県の公共劇場学芸のMさんの5人で、「今の若い世代が家庭を持つ、こどもを持つことの経済的な困難」をテーマにディスカッションしてもらうことになった。
でてきたのは「自己実現の方が先で、こどものことは漠然としか考えられない」とか、「経済的なことはなんとかなる」「いやそんなに甘くない!」とか「地域にはなかなか入れない」「親があてにできるならした方がいい」「親も孫が生き甲斐になるのでは」という意見だった。
次は上の世代、だいたい40代の5人に、同じテーマについてディスカッションしてもらう。
今度はどちらかというと彼らの親世代に近い世代で、20代が親をあてにしようとしているのを知ってでたのがまず「子育てが終わって、やっとこれから自分の時間ができると思っていたのに、今度は孫の世話であてにされるなんて〜!」という意見。たしかに今現役で孫の世話をしている世代とくらべると、これから祖父母になっていく世代は、すでに女性も仕事でばりばり働いたり、独身時代に自分のプライベートな時間を充実できた世代だから、子育てが終わったらまた自分の時間を楽しみたいと思う人は多いかもしれない。
結果的には「地域を頼れ、声をあげろ」という、若者へのアドバイスでまとまった。
この回ここにすわった人たちはどこでも生きていけそうなタイプの人々だった。
確かに声をあげなきゃ仕方ないんだけど、みんながみんなそうできて、まわりもちゃんとその声を受けとめられてたらなんにも問題はない。双方それができないから今たくさんの問題や事件が起こっている。今度はちょっとテーマのハードルをあげて「今のこの難しい状況をどうしたらいいか」について、人形を使ってディスカッションしてもらう。メンバーの世代は今度はバラバラ。
「こどもの遊び場がないから地域の交流が生まれない。公園をもっと作る。マンション作る時とかもみんなで集まる広場を作るとか、設計から始める」「お金で解決もできない、親も頼れない、という状況だったらどうしたらいい?」「地域には生活レベルが同じじゃない人が集まった方がいい」
などなどの話がでた。
このへんで新しい環境で集中して遊んでいたこどもたちが飽き始めたのか、泣き声や騒ぎ声が聞こえ始める。残り時間も少なくなってきたので、このテーマはここまでにしてTくんがいる時にまたやってみることにして、次の「こども」スペシャルに入る。
2、こどもを感じてみる
「自分らしい子育てとはなにかを考えたい」と言っていた参加者のAさんから「今の親はあたまでっかち、頭で考えすぎてしまうので、まずこどもを感じることが大切」という話が前回でていた。
なので今日は、こどもをよく観察し、マネてみることによって、「こどもを感じてみる」体験をする。
まずよく観察することで気づいたことをひとりひとり言ってもらい、それをふまえてさらに観察する。
そして次はいよいよマネになるが、これはとても難しい。この課題をやるにあたって、自分でもうちでこどものマネをやってみようとしたが、大人のマネの比じゃないくらい難しい。
なので、まずは「体の動き」をやってみる。こどもの体がじっとしているということはほとんどない。いつもたえず動いている。じっとしているようにみえる時だって、いつもどこかが動いている。
こどもたちの中でも、発達障害があるかもしれないと言われたという2歳のSちゃんをモデルにしぼり、全員で動きをマネしてみる。また気づいたことを全員で話す。次に表情もマネしてみる。たくさんの大人たちがみんなで自分をみてマネしてるとわかったSちゃんは大喜び。ほんとうに嬉しそうに体を動かしはしゃいでいる。
ここでマネしてみてわかったこと、気づいたことには、こどものようになれない自分、大人とこどもとの違いがあった。
すぐに変化する意識の在りよう、多幸感、きりのなさ、気持ちと体・表情の直結、母のもとでの安心感。
「こどもに向き合って同じことしようとしてる時が一番こどもの感覚に近いかなと感じる」という意見もあった。たしかに、わたしもこどもと一緒に撮った写真にうつった自分の表情にびっくりしたことがあった。こどもと一緒になんのくったくもなく笑っている写真だったが、自分でも自分のそんな表情の写真は見たことがなかった。こどもと笑う時の自分にこんなに手放しになれるんだなと驚いたりはしてたけど、それが本当に写真にもうつっていたのでやっぱりそうなんだと思った。
そして、こどもの表情をマネた時に一瞬感じたのはやっぱりものすごい幸福感だった。Kはうちに来て、本当に、こんなに幸せなんだ、と初めて気づき、涙がでそうになった。
こどものワークショップをするようになって、こどもと接した時、こどもと俳優の共通点を直感したことがある。俳優はこどもと相性がよく、こどもの心をつかむのがうまいとよく感じるし、子育てを楽しむタイプが多いと思う。
共通点はなにかと言えば、時間の感覚である。だいたい小学5、6年生くらいまでのこどもは「今」をすべてとする時間の感覚の中に生きていて、「過去」や「未来」の概念が薄い。で、俳優は大人だけど、舞台の上で、やはり「今」をすべてとして生きる時間を職業的に持っているからだ。こういう時間を持てる大人は俳優以外にそうはいないんじゃないかと思う。
今回みんなのモデルになってくれたSちゃんは「発達障害かもしれない」と言われたらしい。
こどもがそうかもしれないと言われた親はみんな心配になるだろうし、大人たちもいろんなことを言うかもしれない。でも今日のSちゃんは多くの幸せな気持ちを大人に与えてくれた。当事者のSちゃん抜きにこういう問題を語るのは危険だし難しい。
次回vol.3は来週29日(火)である。火曜日の方が来られる人が多いみたいで、次はけっこう参加者が多い回になる。さて来週はなにをしようかな?明日もまた考えてみようと思う。
この回はうちも旦那が休みなので、こどもも連れて3人で出かける。こうして家族に自分の仕事の現場に参加してもらえるのは幸せだなあと思う。
この日は、学校や保育園・幼稚園がお休みなので、うちの子だけじゃなく、参加メンバーのこどもたちもたくさん遊びに来てくれた。ワークショップルームの一角に作られたキッズスペースあたりでこどもたちがそれぞれ遊び始める中、ゆるゆるワークショップを始めた。
こどもたちの他、多かったのが20代である。円の研究生女子たちがこの回のみ参加だったり、唯一の20代男性参加者Tくんもこの日参加の予定だったので、この日は「こども&20代スペシャル」にした。
1、今の若い世代が家庭を持つ、こどもを持つことの経済的な困難
ところが問題提議した当のTくんがお休み。Tくん抜きの20代女子3人と世田谷関係者のWSファシリテーターOくん、某県の公共劇場学芸のMさんの5人で、「今の若い世代が家庭を持つ、こどもを持つことの経済的な困難」をテーマにディスカッションしてもらうことになった。
でてきたのは「自己実現の方が先で、こどものことは漠然としか考えられない」とか、「経済的なことはなんとかなる」「いやそんなに甘くない!」とか「地域にはなかなか入れない」「親があてにできるならした方がいい」「親も孫が生き甲斐になるのでは」という意見だった。
次は上の世代、だいたい40代の5人に、同じテーマについてディスカッションしてもらう。
今度はどちらかというと彼らの親世代に近い世代で、20代が親をあてにしようとしているのを知ってでたのがまず「子育てが終わって、やっとこれから自分の時間ができると思っていたのに、今度は孫の世話であてにされるなんて〜!」という意見。たしかに今現役で孫の世話をしている世代とくらべると、これから祖父母になっていく世代は、すでに女性も仕事でばりばり働いたり、独身時代に自分のプライベートな時間を充実できた世代だから、子育てが終わったらまた自分の時間を楽しみたいと思う人は多いかもしれない。
結果的には「地域を頼れ、声をあげろ」という、若者へのアドバイスでまとまった。
この回ここにすわった人たちはどこでも生きていけそうなタイプの人々だった。
確かに声をあげなきゃ仕方ないんだけど、みんながみんなそうできて、まわりもちゃんとその声を受けとめられてたらなんにも問題はない。双方それができないから今たくさんの問題や事件が起こっている。今度はちょっとテーマのハードルをあげて「今のこの難しい状況をどうしたらいいか」について、人形を使ってディスカッションしてもらう。メンバーの世代は今度はバラバラ。
「こどもの遊び場がないから地域の交流が生まれない。公園をもっと作る。マンション作る時とかもみんなで集まる広場を作るとか、設計から始める」「お金で解決もできない、親も頼れない、という状況だったらどうしたらいい?」「地域には生活レベルが同じじゃない人が集まった方がいい」
などなどの話がでた。
このへんで新しい環境で集中して遊んでいたこどもたちが飽き始めたのか、泣き声や騒ぎ声が聞こえ始める。残り時間も少なくなってきたので、このテーマはここまでにしてTくんがいる時にまたやってみることにして、次の「こども」スペシャルに入る。
2、こどもを感じてみる
「自分らしい子育てとはなにかを考えたい」と言っていた参加者のAさんから「今の親はあたまでっかち、頭で考えすぎてしまうので、まずこどもを感じることが大切」という話が前回でていた。
なので今日は、こどもをよく観察し、マネてみることによって、「こどもを感じてみる」体験をする。
まずよく観察することで気づいたことをひとりひとり言ってもらい、それをふまえてさらに観察する。
そして次はいよいよマネになるが、これはとても難しい。この課題をやるにあたって、自分でもうちでこどものマネをやってみようとしたが、大人のマネの比じゃないくらい難しい。
なので、まずは「体の動き」をやってみる。こどもの体がじっとしているということはほとんどない。いつもたえず動いている。じっとしているようにみえる時だって、いつもどこかが動いている。
こどもたちの中でも、発達障害があるかもしれないと言われたという2歳のSちゃんをモデルにしぼり、全員で動きをマネしてみる。また気づいたことを全員で話す。次に表情もマネしてみる。たくさんの大人たちがみんなで自分をみてマネしてるとわかったSちゃんは大喜び。ほんとうに嬉しそうに体を動かしはしゃいでいる。
ここでマネしてみてわかったこと、気づいたことには、こどものようになれない自分、大人とこどもとの違いがあった。
すぐに変化する意識の在りよう、多幸感、きりのなさ、気持ちと体・表情の直結、母のもとでの安心感。
「こどもに向き合って同じことしようとしてる時が一番こどもの感覚に近いかなと感じる」という意見もあった。たしかに、わたしもこどもと一緒に撮った写真にうつった自分の表情にびっくりしたことがあった。こどもと一緒になんのくったくもなく笑っている写真だったが、自分でも自分のそんな表情の写真は見たことがなかった。こどもと笑う時の自分にこんなに手放しになれるんだなと驚いたりはしてたけど、それが本当に写真にもうつっていたのでやっぱりそうなんだと思った。
そして、こどもの表情をマネた時に一瞬感じたのはやっぱりものすごい幸福感だった。Kはうちに来て、本当に、こんなに幸せなんだ、と初めて気づき、涙がでそうになった。
こどものワークショップをするようになって、こどもと接した時、こどもと俳優の共通点を直感したことがある。俳優はこどもと相性がよく、こどもの心をつかむのがうまいとよく感じるし、子育てを楽しむタイプが多いと思う。
共通点はなにかと言えば、時間の感覚である。だいたい小学5、6年生くらいまでのこどもは「今」をすべてとする時間の感覚の中に生きていて、「過去」や「未来」の概念が薄い。で、俳優は大人だけど、舞台の上で、やはり「今」をすべてとして生きる時間を職業的に持っているからだ。こういう時間を持てる大人は俳優以外にそうはいないんじゃないかと思う。
今回みんなのモデルになってくれたSちゃんは「発達障害かもしれない」と言われたらしい。
こどもがそうかもしれないと言われた親はみんな心配になるだろうし、大人たちもいろんなことを言うかもしれない。でも今日のSちゃんは多くの幸せな気持ちを大人に与えてくれた。当事者のSちゃん抜きにこういう問題を語るのは危険だし難しい。
次回vol.3は来週29日(火)である。火曜日の方が来られる人が多いみたいで、次はけっこう参加者が多い回になる。さて来週はなにをしようかな?明日もまた考えてみようと思う。