阿部初美のブログ

演劇の演出家です。

2013年04月

「としまで子育て」ドキュメント完成

「としまで子育て〜子育てを考えるワークショップ」ドキュメント完成

こちらもすっかりお知らせが遅くなってしまいました、としまアートステーション構想のプログラムで昨年2012年9-12月に実施した「としまで子育て〜子育てを考えるワークショップ」のドキュメントが先月末に完成しました。
タイトルは「子育てをめぐるタテの対話」です。

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中身は、毎回のワークショップの内容と、最後の発表会「結婚・子育て、どう考えてますか?」で上映した20-60代の参加者の「結婚・子育て」に関するそれぞれの人生の選択のインタビュー映像の証言と、その後の観客を含めたオープンディスカッションを抜粋で掲載しています。

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たとえば上は、右ページはvol.2で行った「本の紹介」、左ページはvol.3「子どもを感じる」をテーマに、子どもの様子を実況中継してみたり。

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写真は発表会の様子、みんなでインタビュー映像を見てるところ。
文章はその時のインタビュー映像を文字起こししたもの。

証言の第一部では、20-60代の参加者のみなさんがそれぞれ「結婚」や「子育て」について、自分の人生でどのような選択をしてきたか、またしようとしているのかを語っています。
第二部はその選択の背景には何があったのか、個人的な理由、社会的な背景について語っています。
第一部では、一見、それぞれの選択が個人の自由な意志によるものに見えていましたが、第二部では、その後ろには誰も逃れることのできない「時代」の影響があったことが分かってきます。
それぞれの時代にどんな背景があり、個人の選択にどんな影響を与えていたのか。
オープンディスカッションでは観客のみなさんも含めた世代別ディスカッションも行いました。
とくにこれからライフプランを考える若い世代に参考にしてほしいという目的から出発したインタビュー集ですが、いろんな世代の多くの方に手にとっていただきたい冊子になりました。

わたし自身が子育て中で、なかなか時間がとれない中、アートステーションZ事務局やANJのみなさん、デザイナーの三宅さん、もと構想ディレクター佐藤慎也さんにいろいろご協力いただきながら、やっとできた作品です。みなさん、本当にありがとうございました
豊島区&東京アートポイント計画のみなさんにもいろいろお世話になりました、感謝です。
おかげさまで、とてもすてきな小冊子ができました

巻末にはわたしが〆切をのばしのばしにしてしまった原稿「「子育てをめぐるタテの対話」ができるまで」が掲載されていて、こちらには世田谷パブリックシアターでの「子育てを考えるワークショップ」の様子も載ってます。
しかしこれは非売品なので、ご興味のある方はアートステーションZかわたしにご連絡くださいませ。




産み育てを考えるWSvol.6-8/水戸

すっかりブログもごぶさたですが、まだまだ余裕のない日々です

近況 3月は〆切をのばしのばしてやっっとのことで下旬に、ドキュメント「としまで子育て」の原稿を脱稿。すぐに保育園入園の準備にかかり、ぎりぎりセーフで入園。4月からは週5日保育になる。第1週は慣らし保育なので、お昼前後までではやお帰り。もちろん初日は大泣き大暴れでやっとのことで連れていくが、先生方のお気遣いですこし気をよくして、二日目からはなんとか泣かずに登園。おむつはずしが始まり洗濯物の量が4倍に(おむつは2週間ではずれたが)慣らし保育が終わって第2週からはわたしも円の研究所での授業の仕事が始まり、今日に至るが、たまった雑用と仕事の準備と、いったいどれから手をつけてよいやらという状況である。。。
水戸「産み育てを考えるワークショップ」の最後の3回もまだまとめられていないので、まずは古い順から手をつけるかな〜、、、ということでとりあえず水戸のご報告。


産み育てを考えるワークショップ/水戸芸術館

3/9(土)vol.6
土曜日は男性参加者が多い。この日も男性参加者が多かったので、前回の予告通り「子育てのすばらしさ」をテーマにグループワークで人形劇。
この日は水戸芸術館、演劇部門の芸術監督の松本小四郎さんも参加者としてご参加くださったり、水戸芸術館ACM所属俳優マットさんや、北九州芸術劇場スタッフのNさんも参加。ほかにもイクバアの60代女性やひたちなか子育て支援グループからまたTさんが来てくださったり、ということで年齢層も広く人数も多い回になった。
もう月日が経ってしまい、その時の発表は断片的にしか思い出せないのだが、インタビュアーが街頭で「子育てのすばらしさについておしえてください」と街行く人にインタビューする、というお話やら、駅で見知らぬ人にベビーカーを運んでもらうなど親切にしてもらった話や、家庭の中の一場面やパパ友たちの会話(新鮮)の場面を演じた人形劇などがあった。
やっぱり年齢の幅が広いと違う角度からの話が入ってくるので面白い。
50代のTさんは子育ての喜びを「子どもを持たなかったら出会えなかった人と出会い、一生の宝となるような関係を築くことができた」と語るが、現在乳幼児を育てる母親の女性たちは、そんな関係を築くことはとても難しいと感じている。でもTさんの話から、Tさんのような関係を築くことも不可能ではないんだという希望を受け取ってもいるのだと思う。
パパ友たちの会話では、同級生3人がひさしぶりに集まって、まだ独身の男性の視点からパパになった二人の男性の人間的な成長の様子が語られる。パパになった男性のかっこよさが語られたのは、今回が初めてだったと思う。常連参加者のママAちゃんからは「パパたちからパパの考えてることが聞けてすごく面白かった!」という感想がでました。
そのほか「子どものいる人はみんな子どもという存在を通して世の中のことをを考えているし、社会との関係を作り出しているんだなと思った。」(20代独身女性)「子どもは親を成長させてくれる、すごい教師」(北九州の母Nさんほか)などなどの感想がありました。

3/14(木)vol.7
平日のこの回はまた乳幼児連れの女性参加者がメイン。毎回新しい参加者があって嬉しいかぎりだが、この日はとくに多かったと思う。常連のKさんのお友だちから「2世帯」問題が再燃。水戸ではこの話はほんとによく聞かれるし、お嫁さんたちの悩みの種のようだ。全員でかなり長い時間この問題についてディスカッション。これはちゃんと水戸のひとつの大きなテーマとして扱ってちゃんと表現していった方がいいなあと思う。いつかできる日が来るかなあ?
残った時間はまたシアターゲーム。

3/19(火)vol.8
最終回。この日も常連ママ&子どもたち+初参加者親子数組というメンバー。最高齢80代のおもしろおばあちゃんMさんもご参加。
毎回おなじみの、初参加者による自己紹介+「参加の動機と子育てについて思うこと」のお話では80代のMさんが興味深い話を聞かせてくださった。
「最近の親は理屈っぽく子どもに説教をしすぎる。昔はズボンをおろしてお尻ぺんぺんで終わりだった。子はお尻、親も手が痛くなり、ともに痛みを感じることが大切。頭をはたくのはだめ、頭は危ないからお尻。」など、印象深いお話をたくさんうかがった。
その後は以下、もりだくさんの内容でした。

1、シアターゲーム「彫刻ゲーム」
彫刻家役と彫像役のペアを組み、彫刻家役が、彫像役の体を動かし、資料写真や絵を見ながらポーズを作っていく。彫像役はそのポーズからどんな気持ちや動きが生まれてくるか、自分の体と心に耳をすましながら、合図とともに少しずつ動いてみる。
「子どもは大人が使わない筋肉をたくさん使っていることがわかる」「子どもの気持ちになった」「童心にかえった」「子どもの自由さを感じた」「動けない自分を感じた」などなどの感想があがる。

2、子どもの頃の一番古い記憶を語る
「父の狩りについていって、猟銃の音に驚いて尻餅をつき、それで獲物が逃げたと怒られた」「幼稚園の時、同じ組の子に、リュックに鼻クソをつけられた」「幼稚園の時、七五三の飴はなんですか?という先生の問いにミルキーと答えたらみんなに笑われた」「母が教習所に通っている時、(教習所の託児か?)別の部屋で、おばさんとお菓子の袋をひとつ一つ大切に開けながら待っていた」「おばあちゃんがキティちゃんの赤いチョッキを作ってくれた、ちくちくして痛かった」「七五三で着たくもない着物を着せられて嫌だった」「万博の夜景」「3歳の時、赤ちゃん(2つ下の弟)がレースごしに見えてかわいかった」「3 -4歳の時、外でブルーシート広げて寝ていた時、ジャンパーかけてもらって気持ちよかった」「幼稚園の時、動物園にいって蛇を触れなかった」「3歳の時、運動会で靴をはかず、ケガをしてのぼった手術台」などなど。

3、推薦図書は常連ママたちから。
「あなたのお母さんでよかった」障碍児のお母さんが書いた本。
「はらぺこあおむし」子どもが大好き。曜日や数字をおぼえるのにも効果的。
「くだもの」絵本。コミュニケーションツールとして○。
「ニキーチン夫妻と7人の子ども」旧ソ時代のエッセイ。アトピーの子をオムツ一枚で育てたり。
「東京に暮す」1928-1936、東京に暮らしたイギリス人が見た日本。「男の子に甘い」の一文も。
「せんろはつづく」子どもたちが線路を作る絵本。山があったら?川があったら?想像しながら読める。
「おすわりくまちゃん」絵本。椅子がひとつ足りないよ、さてどうする?

ということで、水戸での全8回にわたる「産み育て」ワークショップは終了しました。
大きいおなかをかかえて毎回参加してた妊婦のAちゃんは先日、無事に第2子を出産。いつも一緒だった3歳のSくんもお兄ちゃんになりました。
今回もいろんな出会いがありました。ご参加くださったみなさん、本当にありがとうございました。
またお会いできる日を楽しみに〜


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