今年もやってます!

産み育てを考えるワークショップ
in 鳥の演劇祭2019

古民家が立ち並ぶ風情ある城下町・鹿野の町を拠点に毎年開催される鳥の演劇祭で、今年も産み育てを考えるワークショップをやらせていただいてます。
2年目の今年は、子育て支援センター「カンガルー」、しかの宿「山根」、気高子ども食堂の三ヶ所で、2週末にわたっての開催です。
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第1週目の先週、平日は子育て支援センター、土日はしかの宿で開催しましたが、子育て支援センターは満員御礼に近い状態、しかの宿は2~3人の少ない人数でがっつり、という形になりました。
今回は参加者のみなさんのお話から、この平日と土日の人数の落差も鳥取ならではの事情が見え隠れしていることがわかってきました。
4日間のワークショップをふり返ってみたいと思います。

1日目10/25(金)10:00-12:00 子育て支援センター「カンガルー」
乳幼児連れのお母さんを中心に12名ほど。それに後期高齢者のHさん(8回全参加予定)。いつものように全員の名前をあだなで覚えるゲームからスタートし、参加者お一人お一人に「産み育て」について関心のあることを書いていただき、その紙を並べてみんなで見て、詳しい話を聞いてみる。去年のワークショップでは人数が少なくあまり鳥取の様子がわからないままだったので、このお話に30分以上さいたが、0~2歳くらいまでの元気な子どもたちの声で、お互いの話が聞き取りにくく💦集中が保ちにくい状況になってしまいましたが、それでも共働きや専業主婦について、それぞれその理由などを中心に話を聴きあう。この日は12時までの参加者もいたので、他者とのコミュニーケーション、距離、未知の世界の歩き方などについての気づきをうながす体を使ったゲームさらりと2つほど。初参加の人がほとんどなので簡単な紹介にとどまる。

2日目 10/26(土)10:00-12:00 しかの宿「山根」
乳幼児連れのファミリーと毎回参加の後期高齢者Hさんの3名。妻はまもなく1年の育児休業を終えて仕事に復帰しようとするが、途中入園できる保育園はなく、4月まで待たなければならない状況。夫はそれならいっそ職場復帰をのばしてもっとゆっくり子どもと過ごしたら?と勧めるが妻はとにかく少しでも早く復帰したく意見がすれ違っていて、これを人形劇にすることに決める。
夫は自分の母親が専業主婦でいつも家にいて、手作りのおやつ、手作りの服などたくさん愛情を受けることができてよかったから、妻にもそうしてほしい思いがある。妻も理想はもう少し子どもといたいが会社に迷惑がかかる、気まずい雰囲気になる、「他のお母さんはこうだった」と言われるとなにも言えなくなるという。ちなみに途中入園できず困っているという話は1日目にも2人くらいの人から出ていたがやはり同じような理由からだったんだろうか?妻の両親は共働きで彼女は1年生から学童にあずけられていて、1年生の時はやはり寂しかったが、それ以降は学童でたくさんの経験をさせてもらえてよかったという。かたや75歳のHさんは女性だって働くのは当たり前、というこの世代にしては先進的な女性で、母親が働いて一緒にいられる時間は少なくても、「しっかり愛情をかけさえすれば大丈夫、自分で実証済み」という。劇にすることで、ご夫婦それぞれの考え方の背景がでてきた。こうしてみんなでご夫婦の問題を共有させていただいたことで、相互理解や次の一歩への道しるべが少し見えてきたらいいなと思う。

3日目 10/27(土)10:00-12:00 しかの宿「山根」
乳幼児連れのリピーターお母さんKさんとHさんのお二人。Kさんは去年も参加されて今年2年目。ひさしぶりに会った子どもKちゃんは2歳になってずいぶん大きくなった〜。去年、子育ての時にそばにいてほしいのは、同じ乳幼児子育て中のお母さんじゃなくて、おばあちゃんのような人、と言っていたような記憶があったので、「第三者としてどういう支援をしたらいいのかわからないから勉強しに来ました」と言っていたHさんの組み合わせはとてもよかったと思う。大阪の詩人の上田さんの子どものKちゃんが遊びに来てくれていて、小4のKちゃんも一緒に作品作れたらいいなという気持ちもあったけど、前の二日間ほぼHさんの思いに触れられなかったので、この日はHさんスペシャルデイに決めてスタート。子育て世帯にはどんな支援が必要?をテーマに人形劇を作りましょうと提案。よくよく聞くと、Hさんの次女に第2子が生まれるので、お手伝いに行く予定で、次女は第1子の時、赤ちゃんのお世話にことは全くHさんに聞かず、全部スマホで調べていて、自分はなにをしたらいいのかわからないと悩んでおられたのでした。そこへKさんが「ただ、いてくれればそれでいいんです」と、たくさんの同じ思いをもつお母さんたちの思いを代弁して伝えてくれた。やはり赤ちゃんのお世話の仕方は時代でだいぶ変わってしまったし、産院やパパママ教室で教えられることの方を信じるお母さんが多いので、それがぶつかる原因になるが、お母さんが求める支援は「そばにいてくれること」。できるならば、ご飯の支度や掃除洗濯などの家事はやってもらえると助かるかもしれませんねとお伝えすると、どこか固かったHさんの表情は、ほんとうに芯からほぐれていった。

4日目 10:00-12:40 子育て支援センター「カンガルー」
この日は乳幼児連れのお母さんたちをメインに俳優も多く参加。鳥の劇場の大川さん、山の手事情社のとのさん、円のたかみとうっしーの4人で満員御礼。遅刻や飛び入り参加もあって、20分ほど遅れてスタート。人数が多いので土日のようにがっつりはできないけど、カンガルー1日目で出た話題を掘り下げるために人形劇を作ってみることにする。多くでた3つの関心事「子育てと環境」「仕事と家事育児の両立」「子育て中の親子にどう関わったらいい?」をテーマに1グループ5人で製作。作品内容は以下。
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1、子育て環境
シーン1:隣近所から子どもがうるさいと言われて困る、三人の子持ちファミリー。
シーン2:子連れで買い物するママ。年配女性から声をかけられ、女の子なのに水色の服はかわいそうとか、スーパーは冷えるから赤ちゃん風邪引くわよといらんお世話をたくさん言われる。
シーン3公園で遊ぶ親子たち。木登りする子どもを危ないからとやめさせもっとやりたいとせがむ子どもを無理やり連れて帰ってしまうママ。
シーン4:以上3つのシーンの体験を愚痴るママたち。愚痴を言える人がいるっていいね。
(このグループは移住者が多く、それぞれのエピソードは鳥取ではなくよその土地の話がほとんど。鳥取は育てやすいねと思っているとのこと。)

2、仕事と家事育児の両立
シーン1:子どもが三人いる、ある家庭の朝。末っ子の赤ちゃんが熱をだす。パパとママ、どちらが会社を休むかで口論。パパは大事な仕事だから休めないと決め、その代わりゴミくらい出しておいてあげるから、お皿くらい洗っていってあげるから、と少し家事をして会社に行ってしまう。
シーン2:末っ子のお熱で会社を休んだママは翌日出社すると、会社のみんなの白い目が気になる。
シーン3:子どもが二人いるまた別の家庭の夜。帰宅したママが急いで夕飯作り。子どもたちは手洗いうがいもせずに騒がしく、そこにパパ帰宅。疲れてるから休ませてと休む。イライラ💢してついつい子どもや夫にあたるママ。

3、子育て中の親子にどう接したら?
シーン1:ある親子が乳幼児を連れたママに挨拶をするが挨拶がかえってこない。
シーン2:孫のいるおばあちゃんが乳幼児連れのママに挨拶するがまた返しなし。
シーン3:挨拶を返さない乳幼児連れのママのモノローグ。どう接したらいいのかわからないわ。

遅れてスタートしたこともあり、発表して感想を聞くまではできたものの、それぞれの問題にどう向き合ったらいいか、どう解決したらいいかを話し合うところまではいけず、3つめの挨拶しないお母さんにどう接したらいいか、自分の子どもに「なんであのお母さん挨拶しないの?」と聞かれた時になんて答えたらいいのか考えてしまうという感想があったので、それだけみんなで考えてみました。挨拶をしないのはなぜ?俳優の仕事のごとく、みんなでその人の気持ちになって考えてみました。知らない人に余計なことを言われたくない、子どもを不審者から守らなければと思っている、どう接したらいいかわからなくて困っている、などの理由が考えられました。挨拶を返されなくてもいいと思って挨拶を続ける、などのアイデアも出ました。
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第1週はこんな感じの4日間でした。第2週の今週は金曜の気高町の子ども食堂くるりからスタート、初の夜開催です。去年ご参加くださった子ども食堂を運営されているOさんが「気づきが多かったからぜひうちでも」とお誘いくださり、感謝です。普段は50人くらいの親子が利用しているとのこと。いったい何人でどんなwsができるんでしょう?若干不安はありますが💦やれることを探ってみたいと思います。
土日月の三連休はしかのやど「やまね」で10:00-12:00(希望者でランチ)です。お気軽に遊びに来てくださいね〜。

なお今回は、同時期開催中の札幌「産み育てを考えるws」と、それぞれのワークショップの様子を紹介するビデオレター交換もします。先週それぞれ撮影した作品を送り合い、今週のどこかで鑑賞、感想を送ります。

鳥の演劇祭、併催のBeSeTo演劇祭、面白い作品がそろってます。ボランティアスタッフも大募集中です!ぜひぜひ鳥取へ〜